2012年度 卒業研究
Er:YAGレーザによる脳組織蒸散時の飛散物モニタリングシステムの開発
脳腫瘍除去手術の現状は、電気メスを用いての手術が主流であり、高出力レーザ治療機器を用いた治療は行われていない。我々は、これまで用手的脳腫瘍除去システムにEr:YAGレーザ(波長2.94μm)を用いることが有用であると考え、蒸散効率測定法の確立とレーザ照射中のモニタリングシステムを構築してきた。本研究では、脳組織蒸散時に発生する飛散物による照射部位周囲への影響を検討するため、飛散物の測定、評価を行った。
汎用DBソフトとタブレットPCを用いた医療機器管理DBシステムの開発と運用
医療現場で行われている機器管理は紙媒体を主とする管理・記録方法からDBシステムによるデジタル的な管理・記録方法に移行しつつある。市販されている医療機器管理ソフトは、必要に応じてデザインをカスタマイズできない、導入・ランニングコストが高価であるなどのデメリットがある。本研究では、市販されている医療機器管理ソフトのデメリットを改善すべく、汎用DBソフト(FileMaker Pro 12 Advanced、FileMaker Go)とBluetoothによるバーコード入力システムを用いて、安価で必要に応じて仕様を柔軟にカスタマイズできるシステムの開発を試みた。これまでの研究において課題であった、システムのサーバー化、複数台の入力端末からの管理や情報共有を可能とする構成とした。今年度は新たに、入力端末用タブレットPCにiPadとバーコードリーダにBluetooth接続タイプを用いたシステムを構築した
PC制御による呼吸流量測定システムの開発
呼吸治療に関わる臨床工学技士は、集中治療室、手術室、一般病棟など様々な場面で人工呼吸器を扱う機会があり、呼吸機能検査の知識が求められている。そこで我々は市販されている差圧センサーを用いて簡易的な流量計を製作しPC制御による一回換気量の測定を構築した。
電気メス出力時の熱傷事故に対する対極板温度監視システムの製作
電気メスエネルギーを主訴とする事故の中で高周波電流が直接的な原因としておこる事故は、患者の対極板部での熱傷となる。本研究では、対極板ペースト部の温度を直接モニタすることにより熱傷事故を防ぐ事に着目し、対極板温度監視システムの開発を試みた。これまでの研究の改善点として安全性と経済性の観点や回路の簡素化を図るため、測温部位を減らし、基準温度の再調整を含めた回路製作、及び電磁波ノイズ対策を施した安全監視装置の製作を試みた。
体外式ペースメーカのデータ管理プログラムの開発
医療機器の管理においてディジタル化が進んでいるが、臨床における数値や波形データなどのデータ管理がリアルタイムに入力、閲覧出来ないなど課題が多い。本研究では、手術室や心臓カテーテル室などで使用されている体外式ペースメーカの機器管理に着目し、点検項目の一つである出力波形をリアルタイムでデータ化し管理・保存するシステムの構築を目的とした。その結果より、機器管理のディジタル化とその有用性を検討した。
右心補助人工心臓の開発に関する研究
近年では、左心補助人工心臓を装着した患者が右心不全を合併する症例が数多く報告されている。これを改善するために右心補助人工心臓(RVAD)の開発が望まれる。そこで本研究では、RVADへの応用を目的とした軸流型ポンプの開発を目指している。
サイクロンバブルトラップの開発
心臓の手術に用いられている人工心肺装置には気泡などを除去するバブルトラップが用いられている。そのフィルタメッシュ孔径は40μmで、それ以下の微笑気泡は除去することができない。本研究では、フィルタメッシュを用いずに、サイクロン掃除機のような強力な遠心力を利用することによって、液体から気泡を取り除くバブルトラップについて検討を行った。