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2014年度 卒業研究

曲げセンサ測定を用いた換気様式の評価

14-resp.jpg人工呼吸療法では、疾患により使用する換気モードを選択している。これらの換気モードは圧力、流量、換気量などのパラメータを設定し、各々の疾患ごとに適応されている。しかし、パラメータとして肺の膨らみ(肺胞の長さや径の変化)を指標としているものはない。
 そこで我々は、人工呼吸器による肺の膨らみ方を指標とするシステムとして、ストレインゲージを応用した曲げセンサに着目し、テストラングでの膨らみが測定可能であることを確認した。本研究では、実際の呼吸器系における変化をより忠実に捉えるため、生体肺に近いモデルの構築を行い、人工呼吸療法中の最適な換気様式を曲げセンサを用いて検討することを目的とした。
 基礎検討として、気管支2分岐を模擬したモデルをシリコンチューブで作製した。人工呼吸器に気管支2分岐のモデルを装着し、圧規定と量規定で動作させた。曲げセンサをテストラングの長軸方向3ヶ所につけ、ひずみ計測ユニットを用いて、左右の分岐における長軸方向に対する垂直ひずみεを測定した。

非医療従事者向け経皮的ペーシング装置の心電図解析システムの検討

14-AEPP01.jpgAEDは医療従事者以外でも治療機器として使用でき、公の場などに普及してきている。AEDの治療目的は、頻脈による心停止などを防ぐことである。しかし、現在のAEDでは徐脈の治療はできず、経皮ペーシングできる機器は存在しない。そこで本研究は、現在のAEDに徐脈治療の機能を追加するため、頻脈・徐脈を判定するシステムの開発を目的として行った。
 まず心電図を解析するため、NI社のLabVIEWによるプログラム作製を行った。同社のADコンバータ(NI USB-6009)に模擬心電図波形を取り込み、周期計測から、心拍数(以下HR)を算出し、頻脈・徐脈を分類した。波形から、算出したHR数を用いて、185bpm以上では頻脈、45bpm以下では徐脈として分類基準を設定した。また、徐脈でのブロックの判定では周期を使用せず、波形信号を時間積分し、徐脈とブロックの両者で設定した値以下で算出された場合をブロックと判定した。

院外使用が可能な自動体外式経皮的ペーシング装置における出力波形発生装置の開発

14-AEPP02.jpg近年、自動体外式除細動器(AED)の普及に伴い、AEDによる心室細動(VF)や心室頻拍(VT)に対しての救命率は上昇傾向にある。この要因としては、非医療従事者でもAEDを使用して除細動をすることが可能となったからである。しかし、現状ではVF、VT以外の不整脈については非医療従事者による早期治療を行うことはできない。
 そこで本研究では、AEDと同様に電気的治療が可能な徐脈に注目し、院外でも徐脈治療を可能とする自動体外式経皮的ペーシング装置(AEPP)の開発を目的とし、AEPPにおける出力波形発生装置の開発を行った。
 まず、AEPPにおける出力波形発生装置の開発の準備として、院内で使用されている除細動器(日本光電社製TEC-7631)に搭載されている経皮的ペーシングの出力波形をオシロスコープにて測定した。その結果、出力波形はパルス幅40msのノコギリ波であった。次に、AEPPの出力波形を検討するための回路をCircuitViewerで作成し、シミュレーションを行った。さらに、実際の素子を使用して、出力波形発生装置の回路を作製した。

機器管理データベースシステムを用いた学内実習運用の評価

14-DataBase.jpg 本学科の医用電子工学実習における実験機材の管理方法に、汎用データベースソフトを用いた機器管理データベースシステムを導入し、3年が経過した。一方、取得されたデータに対しての考察はこれまで行われていない。そこで、本研究では過去3年間に蓄積されたデータの検討を行い、学内実習における機器管理データベースシステムの評価を行うことを目的とした。使用している機器管理データベースシステムは、将来中小規模の医療施設への導入を目標として、2011年度の卒業研究で開発され改善を行ってきたものである。学内実習で運用することによりシステムの実用性を図ると同時に、院内機器管理の保守管理業務を模擬したものとして実習に取り入れてきた。これまでのシステムの改善項目として、データ入力のバーコード化、Wi-Fi環境下でのシステムのサーバー化、携帯情報端末からのアクセス化等を行ってきた。これらの運用実績を下に、取得データについて検討を行った。

電気メス放電時のメス先接触状態の音響解析による電磁波障害軽減に関する検討

14-esk.jpg電気メスは、外科手術において幅広く使用されている。しかし、電気メス使用時に手術台の周辺空間へ高周波(約500kHz)電磁波が放射されており、動作原理上電磁波を放射させずに使用することは不可能である。また、放電時メス先で生じるアーク放電により火花の生成状態が変化することから、生体とメス先との接触状態(メス先接触状態)が変化し、電界強度に大きな変化が起こることが先行研究より報告されている。そこで、本研究では、放電時にメス先接触状態をモニタすることで、電磁波障害を軽減させることを目的ととして、メス先での音響解析を行った。
 付属病院の手術室にて電気メスを動作させ、スペクトラムアナライザ、マイク、オシロスコープを用いて電界強度、音響信号、電流値を測定し、モニタリングを行った。放射電磁波は手術台中央から、電気メス本体と反対方向に30cmの位置で、音響信号は切開位置から15cmの位置で測定した。電流値はメス先側、対極板側の両方で測定した。電気メスの切開対象物として、生体ファントム(寒天ゲル、0.3%NaCl)を作成し、凝固モード40Wで測定した。

光音響法による脳腫瘍判別のための基礎的検討

14-Laser01.jpgこれまで、脳組織蒸散時にレーザ照射中の温度や飛散物をモニタリングし、脳腫瘍のみを除去する手法について検討を行ってきた。脳は言語、運動、記憶、感覚など重要な機能をもつ臓器であり、手術療法を用いて治療するには正常組織と腫瘍組織との境界で腫瘍を除去することが必要となる。そこで本研究では、脳組織の機械的特性の違いに着目し、正常組織と腫瘍組織を判別する方法として光音響法を用いて検討することを目的とした。
 光音響とは、組織に高ピークパワーの短パルスレーザ光を照射することにより、瞬間的に組織が熱弾性膨張し光音響波(超音波)を発生する現象である。発生した超音波は、超音波検出素子で検出する。本研究では、脳組織ファントムと豚脳を用い検討を行った。ファントムは伝播速度、及び色の異なる2種類、計4種類を作製した。まず、4種類のファントムの光学特性を調べるため、分光光度計(日本分光製 V-670)を用い吸光度(200~2500nm)を測定した。

シリアル通信による人工呼吸器稼働データモニタリングシステムの構築

14-rm.jpg現在の人工呼吸器の主なモニタリングシステムは、本体がアラームを感知し、それをナースステーション等にある受信機に向けて知らせるといった方式が多い。人工呼吸器には、外部に表示されない呼吸関連の情報も多くあり、それらの情報をリアルタイムでモニタするというシステムは一般的でない。このような専門的な管理システムの導入には大きなコストがかかり、病院経営への負担に繋がる。そこで、本研究では医療機器に多く搭載されているシリアルポートから出力される稼働データに着目し、安価で汎用性の高いモニタリングシステムの構築を目的とした。また、汎用性向上のため、コマンドレスポンス方式にも対応したシステムの構築も試みた。
 まず、安価な小型マイコンRaspberry Piを用い、C言語でプログラムを作成し、システムを構築した。次に人工呼吸器とRaspberry Piをシリアル通信下に置き、作成したシステムにより稼働データの情報取得を行った。また、取得した稼働データはPCにリアルタイムで保存(CSV形式)を可能にした。

無侵襲ヘモグロビン濃度計測装置の作製

14-Laser02.jpg ヘモグロビン濃度の計測は、採血を行うことで、被験者に一定の苦痛とリスクを伴うのが現状である。また、パルスオキシメータにて計測される動脈血酸素飽和度が正常であっても貧血状態、つまり低ヘモグロビン濃度となることがある。そこで本研究では、一般に酸素モニタなどで用いられている近赤外分光法を用いて、血中ヘモグロビン濃度を無侵襲的に計測する装置を作製、計測することを目的とし研究を行った。
 本研究では、LabVIEWを使用し、脈波の各波長における減光度の比率、水とヘモグロビンの吸光係数を用い、血中ヘモグロビン濃度を算出するシミュレータ回路を作成した。素子を用いたヘモグロビン濃度計測回路では、LED駆動回路と受光回路を作製し、プローブには、光源として3波長のLED(660nm、805nm、940nm)とフォトダイオード(PD)とを組み込んだ。プローブは、1波長ごと円筒のパイプに指を差し入れる形状とした。PDによる信号は、電流-電圧変換回路で電圧に変換し、反転増幅回路により増幅させた。測定方法は、指にプローブを装着し1波長ごと切り替えた。3つの異なる光波長用いることで、計測精度を高めることができた。