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2013年度 卒業研究

脳組織蒸散時におけるEr:YAGレーザ照射条件選定システム

sk13-laser.jpg現状の脳腫瘍除去手術においては、電気メスによる摘出が第一選択であり、残存腫瘍に対しCO2レーザが主に使用されている。これまでの研究により、用手的脳腫瘍除去手術システムにEr:YAGレーザ(波長2.94μm)を用いることで、CO2レーザより周辺組織の熱損傷が少ない蒸散が可能であると判明したため、残存腫瘍の切除残骸を効率よく除去できると考えた。そこで本研究では、Er:YAGレーザによる脳組織蒸散時の温度変化の測定および熱損傷との関係性について評価を行った。
 開頭後冷凍保存したブタ組織の切片へin vitroにてレーザを照射中、熱電対で蒸散孔近傍の組織温度を測定した。またレーザ照射直後、照射試料の蒸散孔部分をデジタル顕微鏡にて観察し、体積・深さ・蒸散孔径を測定し蒸散効率を求めた。

人工呼吸療法におけるパラメータとしての歪みセンサ活用に関する検討

sk13-resp.jpg 人工呼吸療法では、疾患により使用する換気モードを選択している。これらの換気モードは、圧力、流量、換気量などのパラメータを設定し、各々の疾患ごとに適応させている。しかし、パラメータとして肺の膨らみ(肺胞の長さや径の変化)を指標としているものはない。そこで本研究では、人工呼吸器による肺の膨らみ方をひずみとして捉えるシステムを構築し、現在用いられている換気モードのパラメータとしての有用性について検証した。
 人工呼吸器のモードは、圧規定と量規定で動作させ、肺の膨らみの測定には臨床で多用されているテストラングを用いた。テストラングのひずみ測定には、ストレインゲージを組合せた曲げセンサを用い、膨らみの測定が可能であるかを検証した。

脳組織の光学特性値の基礎的検討

sk13-laser00.jpg 近年、光を用いた様々な治療・計測機器が臨床現場で利用されている。例えば、ArFレーザ(193nm)が角膜形成術、660nmと940nmが血中酸素濃度の測定、CO2レーザ(10.6μm)が各種外科手術に用いられるなど、紫外域から赤外域まで様々なレーザ装置や光源(以下、光装置)が存在している。しかしながら生体への光特性を考えた場合、現在用いられている波長以外にも利用対象となる組み合わせが存在すると考えられる。また、各生体組織に対する吸光度や光侵達長などの光特性を調査した場合、紫外域から赤外域までの連続した定量的なデータが存在しない。よって、吸光度や光侵達長など定量的なデータを元に、生体に用いる光装置の波長を見直すことは、光を用いた機器の測定精度、治療効果の向上など、様々なメリットにつながると考えられる。
 本研究では、開頭後、保冷保存した豚脳の灰白質及び白質を包埋処理し、凍結、薄切を行った後、分光光度計、FTIRで吸光度を測定し、200 nmから10 μmまでの連続した吸収スペクトルを求めた。

超音波凝固切開装置における周波数変動の動作の解析

sk13-ultra.jpg 超音波凝固切開装置は、45〜60kHzの振動周波数で振動子を含むハンドピースを振動させることで、組織を弾性限界以上に伸展させ機械的擦過力によって切開し、摩擦熱によって組織中のタンパク質を変性、凝固させる医療機器である。長所として切開と凝固を同時に行える、組織への損傷が少ない等がある。そのため、胸・腹腔鏡下手術、冠動脈バイパス術などに用いられているが、切開や凝固に時間がかかるため術者の技能差がでやすいなどの問題点もある。
 本研究では超音波凝固切開装置の振動周波数に着目し、振動周波数の変動による動作の解析を行い、問題点の改善につながるか検討した。方法として、市販の超音波凝固切開装置(55.5kHz)と約1/2の周波数の振動子(28kHz)を用い、これらの振動特性について検討した。測定方法はレーザードップラー振動計を用いて、先端部にレーザーを照射して振動速度、振幅の測定を行った。

パルスオキシメータプローブチェッカの作製と評価

sk13-SpO2.jpg 動脈血酸素飽和度を簡易に計測できるパルスオキシメータは、手術中やICUの患者モニタなどで広く用いられている。パルスオキシメータの点検方法は、本体の機能を点検するものが多く、プローブに備わっているセンサの点検を行うものは少ない。そこで本研究では、プローブの発光、及び受光機能のチェッカを作製し、その評価を行うことを目的として研究を行った。


電気メス使用時の電磁波測定システムの構築と電界強度の解析に関する検討

sk13-esk.jpg 電気メスは、高周波の電流経路の他、電磁波が周囲の空間に放射されている。この放射電磁波が手術内のME機器に影響を与えることが問題となっている。そこで、本研究では手術中を模擬した環境下で、放射電磁波を定量的に測定解析することを目的とした。
 付属病院の手術室にて電気メスを動作させ、モーションキャプチャシステムとスペクトラムアナライザを用いて電界強度を測定した。電気メスの切開対象物として、生体ファントム(寒天0.2%NaCl)を作成し、凝固モード40Wで測定した。手術台中央から、放射状に5方向、XY平面の距離に対する放射電磁波の搬送周波数470kHzにおける強度分布を測定した。