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2016年度 卒業研究

抵抗可変式除細動器チェッカの改良

16-DC.jpg高電圧プローブを必要としない小型・軽量の負荷抵抗可変型除細動器チェッカの改良を目的とした。本学科3年次に実施する医用治療機器学実習では、現在まで自作の除細動器チェッカ(以下、旧チェッカ)で除細動器の出力波形を測定していた。市販の除細動器チェッカは負荷抵抗値が50Ωに設定されているのに対し、旧チェッカは負荷抵抗値の変更が可能である。負荷抵抗を変化させて測定することで、接触インピーダンス(パドルと人体間)と出力波形との関係を学ぶことができる。しかし、これまで使用してきた旧チェッカでは、測定に高電圧プローブが必要、サイズ・重量が共に大きいなど、改善点があった。昨年度の研究では、これらの改善点を考慮した除細動器チェッカ(以下、新チェッカ)の作製を行ったが、出力エネルギーを増加させて波形を測定した際、360Jで回路の一部が破損し、測定不能となってしまった。そこで本研究ではこの新チェッカの耐高電圧性能を中心に改良を行った。
 新チェッカの耐高電圧性能を高めるため、導線と基盤を高電圧対応の仕様に変更した。同時に内部レイアウトを見直し、負荷抵抗の配置を変更することで導線の長さを短くし、内部構造の簡素化を実現した。

実習用心電計キット(ECG ex-kit)の製作

16-ECGkit.jpg本学では、2年次に医用電気工学実習、医用電子工学実習を履修する。しかし、実際の医療機器の基礎となる電気・電子回路の知識と原理を理解している者は多くない。そこで本研究では、制作実習を通じて学生に各実習の意義を理解させるために、電気・電子回路分野で学習する素子や機能を応用した実習用心電計キットの製作(以下、ECG ex-kit)、及びその実習書作成を目的とする。心電計の誘導法は胸部誘導、単極肢誘導及び双極肢誘導があるが、本研究のECG ex-kit製作には電極間の電位を測定する双極肢誘導を用いて回路を設計した。本ECG ex-kit製作のポイントは3点ある。
 1点目は、計装アンプを用いて心電図波形の読み取りが可能な大きさまで信号を増幅する仕様とした。計装アンプに用いたゲイン抵抗により、出力電位を2Vp-p程度に設定した。2点目は、回路にHPFを組み込むことで基線の動揺をおさえる仕様とした。同様に、雑音低減のため回路にLPFを組み込んだ。心電図信号の周波数帯域(0.05〜100Hz)を考慮し、HPFには抵抗1MΩとコンデンサ3.3µFを、LPFには抵抗15kΩとコンデンサ0.1µFを用いた。3点目は、入力信号と出力回路とを電気的に絶縁することである。その他の性能として、心電図モニタ用には小型DC駆動型オシロスコープを使用し、小型化のためオペアンプ駆動電源にDC-DCコンバータを用いた。

輝度値を用いた組織変化の判別方法に関する検討〜レーザ照射による熱的影響〜

16-Laser.jpgEr:YAGレーザを用いた脳腫瘍除去システムの構築において、正常な脳組織に熱的影響を与えない照射条件を検討するため、輝度値を用いて熱的影響による組織変化の判別を行うことを目的とした。レーザ光が生体に照射された時の主作用である光熱的作用は、レーザ光の吸収により照射部が加熱され、組織温度が上昇することで蒸散や凝固作用を起こす。このとき、生体に吸収されるレーザ光エネルギーの大きさにより、照射部周辺にある正常組織にまで熱的作用を与えることが問題となっている。そこで、正常組織と熱変性の起きた組織とを判別するために、1.5cm四方程度に切り分けた豚脳にレーザを照射後、ハイパースペクトルカメラにて照射部を撮影した。組織の熱変性状態を判別するため、白色(タンパク質変性)、黄色、茶色、黒色(炭化状態)の4段階に分け、輝度値を計測した。先行研究の測定結果、及び本研究の測定結果より、各々の熱変性状態での輝度値に大きく差が見られた2波長(490nm及び550nm)を選択し、統計処理を行った。

NPPV用マスクフィッティングにおける皮膚に加わる圧力測定の基礎的検討

16-NPPV.jpgマスク装着時に発生する圧力に注目し、マスクと皮膚の間に生じる圧力を測定することで、リークと皮膚の影響を考慮した装着方法を定量的に評価することを目的とした。現在、人工呼吸療法において、マスクを介して換気を行うNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)を第一選択として使用する症例が増加しているが、マスクの締め付けによる過大な圧迫で皮膚に発赤ができ、感染を生じやすくなってしまう。一方で圧迫を防ぐためにマスクを緩く装着すると、過度なリークが発生してしまう。これらは、装着方法に定量的な基準が無いことが原因の一つとして考えられている。昨年度までは、光造形によって作成したナイロン素材の顔モデルを用いて圧力測定を行った。圧力測定は、水平方向X、Y軸と垂直方向Z軸の3軸を測定することができ、定格荷重の異なる2種類のセンサを用いた。昨年度の結果より、垂直方向のみでなく、水平方向の圧力測定が可能であることがわかった。しかし、センサをフルフェイスマスクと顔モデルの間に挟むことにより隙間が生じ、リークが発生してしまうことが課題となった。
 そこで本研究では、ショッカクチップを埋め込むための凹部分を持つ、シリコーン製の顔モデルに変更して測定を行った。この使用変更により、過度なリークを防ぐだけでなく、実際の呼吸器稼働に近い状態での測定を目指した。圧力測定は、マスク装着過程及び呼吸器稼働時を想定した2項目で行った。人工呼吸器は、NPPV 専用機を用いた。換気モードは、ASV(Adaptive Servo Ventilator)とした。

簡易的パルスオキシメータプローブチェッカの試作

16-SpO2.jpgパルスオキシメータプローブ(以下プローブ)のLEDの劣化やケーブル内の断線を直ちに確認できるチェッカの試作を行った。プローブは赤色・赤外光LEDを交互に発光させ、受光部PDで検出している。赤外光LEDやPDの劣化、ケーブル内の断線を目視で確認することはできず、臨床においてこれらのトラブルを予測し、迅速に対処することは現在不可能である。先行研究では、パルスオキシメータ本体に接続したプローブをチェッカの疑似指に装着し、チェッカ上面の小型オシロスコープにてLED発光波形からプローブの状態を評価していた。本研究では、オシロスコープやパルスオキシメータ本体を使用せず、チェッカとプローブのみで、LEDの劣化やケーブル内断線を小型ディスプレイに表示した情報で評価できる仕様とした。本チェッカは、入力回路、赤色・赤外光切替回路、受光回路、Arduino制御回路で構成した。LEDの劣化やケーブル内断線の確認は、プローブの赤色・赤外光をプローブのPDで受光し、信号を電圧値として小型ディスプレイに表示させることで容易にした。